1.建設業における目標管理の問題点
建設業において目標による管理が機能している企業は少ない。正直に申し上げて、建設業は目標管理が下手である。なぜ機能しないのかその問題点は多くの場合次の2点である。
1)目標が数値化されていない
ISO認証取得コンサルティングの場でクライアントに品質目標を挙げさせると大抵の企業は「ISO教育の徹底」であるとか「顧客満足度の向上」など、抽象的な目標を挙げる企業が多い。ISOスタートの初年度はある程度仕方のないことかもしれないが、これが作業現場レベルの品質目標でも似たような抽象的な目標となってしまうのは困りものである。
ISOに限らず、例えばコストダウンや受注といったテーマにおいても「コストダウンの徹底」であるとか「受注力強化」などのスローガン的な目標がよく目につく。結局はコストにしても受注にしても「いくら下げるのか(あるいは上げるのか)」という目標数値がハッキリしていないのである。
筆者は最近、他部門のコンサルタントの応援で某金属加工部分商社のISOコンサルティングに伺ったことがある。その企業の社内には壁のいたる所に品質目標がポスターとして貼りだされている。その風景は建設業でISOを導入している企業でもよく見かけることなので別段印象には残らなかったが、目を引いたのはその会社の品質目標のテーマである。
「クレーム件数400件以下」がその会社の年間品質目標である。400件のクレーム件数が多いか少ないかの議論はさておき、ISOスタートの初年度からこのような全社的な数値目標がでてくることに筆者は注目した。
ISOそのものはまだ緒に着いたばかりで心もとないが、聞けばクレーム等のデータ管理はISO導入以前から行っていると言う。建設業でクレームのデータ管理を行っている会社はまず聞いたことがない。せいぜいクレーム処理の書式を作成して、クレームが発生する都度、担当者が処理結果を書式に記入して会社に提出するのが関の山で、顧客(発注者・施主)満足度の向上につなげるための組織対応は皆無と思われる。
これらは建設業そのものが数値をもとにした管理を苦手にしており、また管理以前の数値(データ)そのものが組織として取りきれていないことを示している。
2)目標数値に対する具体策がない
中小中堅建設業で年度目標として「受注高○○億円」、「粗利率○○%」と言った目標を掲げている企業は多い。しかしながら、「ではどうやって目標数値を達成するおつもりですか?」と担当部門長に質問をすると、まず明確な答えが返ってこない。企業によっては営業部門長から「補正予算が通れば何とか・・・」などという悠長な答えが返ってくると閉口してしまう。
中にはアクションプランという形で部門別に対策が立てられている企業もある。しかしながら、中身を検討していくと4W1H(いつ、だれが、どこで、何を、どのように)が不明確であったり、計画と活動・実績との差異が検討されないままになっているケースが多く見受けられる。
数値目標に対しきちんとした対策が立てられないのは、要は数値そのものに根拠がないのか、もしくは目標数値が上からのお仕着せになってしまっているからのように思われる。
2.建設業における目標管理の進め方
建設業で目標管理を進めていくためにはどのような手順で行っていけばよいかを次号で解説します。
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