2.建設業における目標管理の進め方
1)経営基本方針・中期経営計画の策定
目標管理を推進するためには、まず経営基本方針と中期経営計画が明文化されなくてはならない。目標管理は会社の目標達成をはかるための全社的な管理活動でなくてはならない。そのためには会社の上位の目標(経営目標)が部門(営業、工事、総務等)に下ろされ、部門の目標がさらに下の課や作業所・営業所、そして最終的に個人の目標に落ちなければならない。
ISOを導入している企業も経営ビジョンとISO活動との整合性が図られていないがために不具合が生じてしまうところがある(単に営業戦略的に取得だけを目的にするのは認証取得後のフォローを考えると極めて問題である)。
経営基本方針は3年以上先のあるべき姿を描かなくてはいけない。理由は3年未満であるときわめて現実的な現在の姿の投影になってしまうからである。
経営計画は上記の経営基本方針に乗っ取り、具体的な部門別のアクションプランとして設定されなくてはならない。
方針や計画を策定する際の数値目標の設定は具体的に設定する必要がある。先のコストダウンを方針や計画の中に取り入れるのであれば、粗利(完成工事高総利益)を基準にするのか、それとも積算上のNET原価を下げるのか、あるいは作業効率の改善などの生産性向上を目指すのか、モノサシとしての基準を明確に設定する必要がある。
特にこれからは粗利を目標にするのであれば、粗利率だけでなく粗利額をノルマとして設定するべきである。おそらく建設業界の価格競争も当分続くもの(あるいは今まで以上に競争が激化する)と思われる。そうなってくると、企業としての必要利益(粗利額)を確保するための変動費、固定費の管理がよりシビアに求められてくる。自社の損益分岐点を把握し、粗利額の確保をしていかなければ企業としての存続がなくなる。
今後、ますます市場環境は厳しくなってくる。経営者の中には環境変化の厳しい時代に中期の経営計画は立てても無意味という意見もある。
しかし、厳しい時代だからこそ、その場しのぎの経営ではなく、用意周到な緻密な経営が求められるのではないのだろうか。
2)個人別目標への落とし込み
先に述べた通り目標管理は会社の経営目標から部門目標、そして個人という上から下へのトップダウンで進められなくてはならない(ISOも基本的に同じ考え方である)。
企業によっては会社のビジョンと無関係に下から上へのボトムアップで目標管理を行っている企業がある。このような場合、うまくいっているケースが少ないようである。ボトムアップの場合、あくまで個人の自主性に委ねられるため目標管理の根幹はトップダウンである。成功の鍵は上から下までの職務と責任領域を明確化し、個々人の責任範囲で目標を設定し上司が定期的に目標達成度合いを評価しフォローすることである。
目標管理を機能化すれば年俸制などの成果主義人事制度とのリンクが容易にできる。最終的には、個人の業績向上と会社の業績向上との相関関係を明確化させることである。
次回は業績向上のための能力開発制度について解説します。
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