HOME
>
建設経営セミナー
> 第23号
■『業績向上につながる人事制度』(5)
【第23号 平成14年3月18日発行】
(株)日本コンサルタントグループ経営コンサルタント 塚田 武志
5.職務資格制度
仕事に関するアウトプットを中心に据えた人事制度を構築するには、適切な期待するアウトプットレベルを設定する為の職務のランク分けが必要になってきます。それが"職務等級"です。
企業経営に必要な職務を洗い出し、それらの職務を各役職(ポスト)に割り当てることにより役割分担を明確にし、それぞれの役職に与えられた職務のグレードを点数化することにより、等級付けを行うのです。そしてその等級に応じた賃金・賞与を支払っていくことになります。
職務等級は、形の上では職能資格等級と同じものですが、まず職務(具体的には役職など)が存在し、それに対して社員のランクを付けるといった点で違いがあります。(職能資格等級では、まず社員を能力に応じてランク付けし、その能力に応じた役職につけるという考え方です)。
極端に言えば、ある現場代理人クラスの社員を今月から部長にする場合には、部長に該当する等級まで数ランクいっきに昇格するということもありうるということです。
職務等級の整備は、下記のステップを踏むことが一般的です。
Step1:職務分析
… 社員個々に職務調査票を配布し、各自が行っている業務を記入してもらう。
Step2:職務評価
… それぞれの業務を難易度や責任の度合いの尺度に従って価値を比較する。
Step3:等級付け
… 職務評価結果により点数化された各役職の価値により等級付けを行う。
この際気をつけることとして、個人についている仕事をどの程度把握できるか、また職務調査の結果出てきた業務が本当に必要なものであるかどうかを振るいにかけることでしょう。多くの会社では、仕事に人をつけるのではなく人に仕事が付いて回る傾向があります。人事制度を改革したからといってすぐにこの傾向を排除できるものではありませんが、職務調査・分析の段階で、それぞれの仕事が本来その役職者が担うべきものなのか、それともさまざまな経緯によりたまたまその社員が行っている仕事なのかを明確にしておき、制度スタート後徐々に本来あるべき役割に戻していくことを心がけてください。
もう一点の業務の必要性についてですが、こちらは職務分析の段階でそれぞれの業務が機能体系のうちどの部分に関連する仕事なのかを整理してみてください。すなわち、それぞれの業務の経営における目的を明らかにすることが大事です。
この段階でどの機能にもあたらない業務はその必要性を疑ってかかるべきでしょう。
6.職務階層の見直し
話しは前後しますが、職務等級を整理する前に、自社の各組織の職務階層を見直されることをお勧めいたします。多くの企業において、部長代理・次長・副部長・課長補佐といった、役割の不明確な役職がいまだに存在しています。
これらの役職は、その役割の必要性から生まれたというよりも、社員を昇格させたが任せるポストが無く、やむを得ずあらたな役職を作ったというケースが多いようです。その結果、部長と次長(あるいは部長代理等)との役割分担がはっきりせず、職務調査の結果が両者ともほぼ同じになってしまうことがほとんどです。
このような状態を放置しておくことは、組織内の指示命令系統を混乱させ、仕事の効率を低下させる結果しか生み出しません。
7.インプットからアウトプット中心へ変換すべきもうひとつの理由
ここまでは経営的事情からアウトプット中心の人事制度の必要性を説明してきました。
人事制度は会社と社員をつなぐ一番大きなつながりであるため、経営側の一方的事情だけで優劣を判断できるものではありません。
当然働く側の視点からも判断する必要があります。ここでは、社員の動機付けといった面からアウトプット中心の人事制度を考えてみましょう。
みなさんはハーズバーグの動機付け・衛生理論をご存知でしょうか。次号はその理論の解説から始めてみたいと思います。
<前へ
次へ>
目次へ戻る