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建設経営セミナー


■『業績向上につながる人事制度』(6) 【第24号 平成14年4月1日発行】
(株)日本コンサルタントグループ経営コンサルタント 塚田 武志

 先月のお約束通り、ハーズバーグの動機付け・衛生理論からご紹介します。

◆ハーズバーグの動機付け・衛生理論
不快回避の欲求をどんなに充足しても、人間は不満足感が減少するだけで、決して積極的満足感が 増大することにならないこと、また、自己実現欲求が充分に充足されれば積極的満足感を覚えることは出来るが、たとえそれが充足できない場合でも積極的満足感は減少するだけで、必ずしも不満足感が 増加するわけではない。

 つまり、ハーズバーグは社員の仕事に対する意識や意欲に関係する要因を、満足を感じる『動機付け要因』と不満足を解消する『衛生要因』に分類したのです。満足感をもたらす要因としては、達成、評価、仕事そのもの、責任、昇進などがあげられました。これらは仕事を通して自己実現を可能にする性格をふくむ、真に人間を動機づける要因となるため「動機づけ要因」と呼びました。
 また、不満足をもたらす要因としての、会社のポリシー、管理・監督技術、給与、対人関係、作業条件は、逆にいえば不満足を解消する要因であり、真に人間を動機づける要因にはなりませんが、職場に発生するもろもろの不快な状況を取りのぞき、良好な環境を維持する可能性を持つため『衛生要因』と呼んでいるのです。
ハーズバーグは、賃金を動機付け要因ではなく不満足な状態を解消するための衛生要因であると位置付けました。
この理論から、ただやみくもに賃金の額を上げることは社員を動機付けることにはつながらないと考えられます。よく、社員のやる気を出す為に賃金額を上げたいという話を聞きますが、これは得策ではなく、動機付けといった面から考えるのであれば、仕事の達成度合いや正当な評価あるいは責任の度合いといった動機付け要因を人事制度の面から明確にすることが大事です。
 また賃金には、生活費としての側面、労働の対価としての側面、人件費というコスト的側面があるといわれますが、このうち生活費として捉えた賃金を考えると、昨今では必要最低限の額は支払われている会社がほとんどでしょう。現代の企業では衛生要因については、かなり充足されてきています。この時代に大切なのは、動機付け要因に注目し、精神的成長ないし自己実現欲求を充足させる場を与え、その結果を賃金制度に結びつけることなのです。

インプット・アウトプットを期待水準とした人事制度

 さて、ここまでで今後の人事制度では社員の仕事に対するインプットよりもアウトプットを重視すべきであることを説明しました。そのベースにある考え方は、現在の経済環境や変化のスピードを考えると成果を出す為に必要なインプットを定めることが必ずしも得策ではないということでした。
 それでは、すべての階層に対してアウトプット一本の人事制度を構築するのがいいのでしょうか。これは簡単に答えが出るでしょう。極端な例を挙げれば、入社一年生にアウトプットを期待できるかどうかということです。一年生を含めて若手に期待することは仕事をした結果よりも、数年後に成果を上げることが出来るような能力をつけていくことです。
すべての社員を中途採用でまかなう会社でない限り、若手にはインプットを期待し、中堅・ベテランあるいは管理者クラスにアウトプットを期待する人事制度が最適であるといえます。

●ある企業の事例
 ある企業では若手にはインプット特に能力を中心に期待水準を設定し、現場代理人以上はアウトプットすなわち業績・目標達成度を中心に据えるような人事制度を構築しました。

     ◆人事考課ウエイト配分表
階層 役職 アウトプット インプット
職務遂行 業績課題 職能 態度
経営職層 部長 70% 30%
管理職層 課長 60% 40%
現場代理人層   50% 30% 10% 10%
初級職層   20% 10% 30% 40%

 社員の階層によって期待することは違います。その違いを人事考課でのウエイト配分に現しているのです。この例では、課長以上は100%アウトプットによる考課となっています。また、現場代理人層にも態度項目を入れていますが、現場のマナーアップをここ数年の経営課題としている為の臨時措置として捉えています。
 しかし職務調査・分析の段階で、それぞれの仕事を本来その役職者が担うべきものなのか、それともさまざまな経緯によりたまたまその社員が行っている仕事なのかを明確にしておき、制度スタート後徐々に本来あるべき役割に戻していくことを心がけてください。
もう一点の業務の必要性についてですが、こちらは職務分析の段階でそれぞれの業務が機能体系のうちどの部分に関連する仕事なのかを整理してみてください。すなわち、それぞれの業務の経営における目的を明らかにすることが大事です。
この段階でどの機能にもあたらない業務はその必要性を疑ってかかるべきでしょう。

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