今月より中堅・中小建設業の色々な事例をご紹介しながら、経営戦略、そして戦略に基づく組織づくりということで連載していくことにいたします。
1)「勝ち組」と「負け組」
まず始めに、「勝ち組」「負け組」という言葉から始めたいと思います。今の厳しい企業経営の環境で、どの業種が「勝ち組」でどの業種が「負け組」などと考えている経営者の方は皆無ではないかと思います。現在はどんな業種にも「勝ち組」と「負け組」があります。両者の特徴を簡単に説明すると、「勝ち組」は新しい市場を創造する“新市場創造会社”であり、「負け組」は“現市場しがみつき会社”といえます。「勝ち組」になるために新しい商売を始めなさいということではなく、今までの延長線上で物事を考えていてはだめということです。
建設業界全体を考えても、今の市場だけにしがみついていると業界全体が「負け組」業界になってしまいます。「勝ち組」になるためには、新しいやり方や、何かお客様のお役に立てるようなことを一生懸命創造する必要があります。
市場といっても「商品市場」や「地域市場」あるいは「顧客市場」といった色々な言い方がありますが、いずれにしても、何か新しい取り組みをしている会社は「勝ち組」の可能性がありますし、今の市場にしがみついたままの発想や仕事のやり方を変えられない会社は「負け組」になってしまう可能性が大きいといえます。
2)企業活動の変革

次に「企業の成果」についてご説明します。「成果」というのは、当たり前ですが「活動」とイコールです。過去の皆さんの企業活動が今の成果を生んでいます。
私はもともと営業出身ですので、営業部門や営業担当者の意識改革という命題を受けていろいろなゼネコンさんに伺いますが、はっきり申し上げて営業部隊の活動は5年前も10年前も今とほとんど変わっていません。データで申し上げますと、例えば営業担当者の1日あたりの訪問件数は10年前も3件、今も3件、面談件数は1件未満です。それで「厳しい、厳しい」と言っているのですから、本当に厳しいという認識をしているのか疑問に思えてきます。
この厳しい環境下、企業活動というものが変わっていないとすれば、一体何が変わったのでしょうか。それはただ単に市場が変わったというだけのことです。建設業は受注産業、請負形態産業であるがゆえ、企業の成果というものが市場のボリュームによって大きくなったり小さくなったりするのです。言葉を変えれば、成果というものは他力本願にならざるを得ないということです。したがって発想のしかたを改め、実際の活動を変えない限り、成果は今以上に上がることは決してないのです。
3)戦略とは何か
今の厳しい建設市場を勝ち抜いていく時に、もう一度戦略とは何かをお考えいただきたいと思います。詳しくは以降の号で述べますが、戦略というのは一言で言えば『他社に常に勝つための明確な特徴づけ』といえます。皆様方の会社では、他社に勝つための明確な特徴があると自信をもって答えられますでしょうか。
今までのように呉越同舟という考え方はこれからはなくなると思います。また、皆で信号を渡っていくという時代も否定はしませんが、これからは市場がなくなるわけですから、そういう意味で他社に勝つための明確な特徴づけという「戦略」をもう一度皆様方の会社でお考えいただきたいと思います。
建設業界全体を見渡すと、すべての企業が今より悪くなるわけではないのです。利益や完工高や受注高が増えていく会社は間違いなくあります。もちろんこの環境下ですから、減っていく会社が大多数だと思います。結局は「活動」を変えない限りは「成果」は変わらないと考えます。なぜなら、他社と違う明確な特徴づけが企業施策に落ちていないと「戦略」とは言わないからです。社長から末端の社員まで、この「活動」というものが「施策」という形で明確にされて初めて「戦略」ということが言えるわけです。
そういう意味で、「わが社はこうする」というお題目を唱えていればいいということではなく、具体的にどう動けばいいのかということまで落として初めて戦略になり得るということをご理解いただきたいと思います
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