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建設経営セミナー


■『建設市場を勝ちぬく企業経営』(4) 【第32号 平成14年12月10日発行】
(株)日本コンサルタントグループ 経営コンサルタント 平林 修二

 7)コストリーダーシップ戦略

 そろそろ本題である戦略ということについての解説に入りたいと思います。戦略には原則というものがあります。皆さんよくご存知のマイケル・ポーターは競争の戦略には3つしかないと言っています。これがその3つです。
【ポーターの競争戦略】
1.コストリーダーシップ戦略
  競合に対して相対的に低コストを実現することによって、自社の競合優位性を確保しようとするやり方。
2.差別化戦略
  自社の商品やサービスの品質やブランドイメージにおいて、競合とは全く異なる効用を提供することによって顧客を引きつけようとするやり方。他社より高価格も可能となる。
3.集中化戦略
  特定の顧客セグメント、地域市場といったような絞り込んだ対象だけに対して、経営資源を集中的に投入し、そこでの優位性を確実に達成するというやり方。特定のターゲット市場だけに絞り込むこと自体を戦略のコアとするものである。

 まず1つめのコストリーダーシップ戦略ですが、大切なのは「相対的に」ということで、「絶対」ではないということです。要するに競合相手に対して1円でもいいから相対的に低コストを実現するという戦略です。(下図参照)
 相対的にコストを下げるというとあまりイメージがわかない人も多いでしょう。例えばということで一例あげてみましょう。
 よく遭遇するケースですが、定年に近いベテラン社員の最後の働き口のようなイメージで購買部門の責任者を任せることがよくあります。この購買部長は現場の人がネゴしてきたものを「下3桁切ろう」とか「端数だけ切っておけばいいだろう」というようなことがよくあると思います。しかし、こんな購買部門ならない方がましです。


 ある会社では社内で一番実力のある人が購買部門を任され、購買という機能を徹底的に強くしています。購買データを綿密に分析し、社内標準としてデータベース化しています。材料や手間がすべて把握されていますから、その会社が地域でコスト競争力があると評判になるのは当然でしょう。
 購買という機能を使ってこうしたしくみを作り上げることで、積極的に取りにいく仕事は他の会社より安くしても利益はそこそこ取れるという結果になります。

 皆様の会社で当たり前のようにやられている施工検討会のやり方も見直しをしていただきたいと思います。本来はコストを下げたり、工期を短縮したりする方法を検討するための会議ですが、手段と目的を混同しているケースがよくあります。
 この施工検討会を営業部長がリーダーになってやっている会社があります。営業部長の責任は粗利を上げることですから、その部長は「市場はそんなことを要求していない」と、徹底してそれだけしか言いません。また、工事部門が組んだ当初予算も認めることはありません。工事部門が予算を組むということは自分が受験する試験問題を自分で作成しているようなものです。したがって工事部門が組んだ予算をもとに、工事部門だけで施工検討会をやってもコストは下がらないのです。
 先ほどの購買部門強化と併せて、数量の工夫を中心にいろいろな形で実施していただきたいと思います。

 次回は差別化戦略を中心に解説します。

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