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建設経営セミナー


■『建設市場を勝ちぬく企業経営』(5) 【第33号 平成15年2月12日発行】
(株)日本コンサルタントグループ 経営コンサルタント 平林 修二

 8)差別化戦略

 前述のマイケル・ポーターによれば、差別化戦略とは、『自社の商品やサービスの品質やブランドイメージにおいて、競合とは全く異なる効用を提供することによって、顧客を引きつけようとするやり方、他社よりも高価格も可能となる。』と定義されております。
 今、差別化戦略の一番主流になっているのは「顧客中心主義」の考え方です。ここで、差別化戦略を論じる前に、『顧客』の定義について皆様に改めて考えていただきたいと思います。我々建設業界では『顧客』を「施主」、「発注者」の視点でしか認識していないケースがよくありました。現在は、「施主」、「発注者」、「利用者」、「生活者」などの視点から考えていかないと市場からはじき出されてしまいます。

 ここで話しを元に戻します。
 顧客中心主義とは、「施主」、「発注者」、「利用者」、「生活者」など、お仕事をいただけるお客様に対して、我が社は何が貢献できるかということです。これを差別化することが、顧客中心主義の差別化戦略です。
 この『何』というのが『商品』の事を指します。建設会社における代表的な商品とは、(1)工法 (2)企画 (3)サービス (4)価格 (5)人材 です。まだ他にもあるかもしれません。要するに、「施主」、「発注者」、または「元請さん」、「生活者」のお役に立てるものが『我が社の商品』となります。差別化戦略とはこの『商品』を差別化するということです。
 しかし、今の時代、技術や工法によっての差別化というのはあまり無いように思います。もし、お持ちでしたら徹底的にこれを『商品』にしてください。無い場合には、企画やサービス、価格、人材を差別化することです。価格が安ければ色々な問題が起こるかも知れませんが、価格だって『商品』です。それが、場当たり的でなく、意図的に『商品』として展開できれば立派な戦略なのです。ただし、価格で展開できない会社が多数あるのも事実です。その場合、企画や人材という『商品』の差別化が必要となります。

 企画による差別化の実例をあげてみましょう。
 J社という大手小売業がショッピングセンターの建設を発注するためにコンペを実施しました。そこには、大手さんを含めて色々な企業が参加しました。地元のB社さんも参加しました。J社は参加各社に、「設計図書と仕様を示しますので、見積もりを持ってきてください」と見積合わせをする段階になりました。
 B社の社長は、J社に日参し、色々情報収集をした結果、大手A社を中心に「10億円で後期は12ヶ月」という情報を入手しました。
 この情報に基づいて、B社は見積作成の検討を重ねますが、大手さんより低い金額で受注しても利益は一銭も出ない状況は変わりませんでした。しかし、B社の社長はあきらめずに、社内の色々な人を交えて勉強会を実施しました。その時に、総務部から参加していた20代の女性から、「私の友達に、ショッピングセンターの副店長をしている人がいます。その人に聞いたところ、今度建設する予定の同じ規模のショッピングセンターだと、1ヶ月の売上が4億〜5億円もあるそうです。すごい売上ですよね。」という発言が飛び出しました。この話しを聞いたことがきっかけとなり、B社の見積もりが決まりました。皆さんいくらだと思いますか。結論は15億円です。ただし、工期は10ヶ月です。
 ここまで書くとお分かりになるように、大手小売業のJ社は、地元のB社に15億円で発注しました。下にも示しましたが、これが、「顧客中心主義」の企画というところです。


 これは、別に技術・工法だけで無く、顧客に役立てる「企画力」=『商品』を活用した身近な差別化戦略の実例です。

 次回は集中化戦略を中心に解説します。

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