HOME建設経営セミナー > 第41号

建設経営セミナー


■『建設業にフィットする人事制度の再構築』 〜建設業の現状を打破する〜

  第5回「期待の体系の考え方」   【第41号 平成15年11月20日発行】
(株)日本コンサルタントグループ 経営コンサルタント 塚田 武志

人事制度のサブシステムのひとつである期待の体系について解説いたします。期待の体系は会社が期待する社員の仕事の仕方・レベルを明確にするものです。縮小そして混迷の時代を迎えている建設業ではどのような期待の体系をつくるべきなのでしょうか。まずそれを考えてみましょう。

7. 期待の体系の考え方

期待の体系を作るためには、まず企業に所属する社員を分類する等級およびコースを設計する必要があります。これらは人事制度のフレームワークとなるものです。このフレームワークにより期待する職務の内容・水準や、支給する賃金の額・決定方法などが決められることになります。職能人事制度では仕事にかかわる能力をベースに、成果主義人事制度では成果責任をベースにこのフレームが定められ、それぞれ期待する職能や成果の水準を定めることにより期待の体系を構築することになります。

現在の建設業には今までの仕事の仕方・組み立てを一度放棄するぐらいの覚悟での改革が求められているわけですから、この「改革の貢献」をベースとした期待の体系を作成することになります。

すべての企業には様々な社員が所属しています。一人前になるために仕事を覚えている若手社員、現場を自分の力で仕切ることの出来る中堅技術系社員、新しい顧客を開拓し業績へ貢献している営業系社員、部門を預かり部下を指導・管理することにより企業に貢献している管理職など、改革への貢献の仕方・責任の度合いが大きく違う社員が一つの企業に属しています。これらの社員の構造を分析するために、縦軸をレベル、横軸を仕事の種類とした図を作成しましょう。

1)  縦軸:レベルの決め方

まず考えるべきは何のレベルを縦軸にとるかということです。現在の経営環境を考えれば直接的な企業経営への貢献度を選択すべきでしょう。他に社員の能力レベルも選択肢として上げられますが、これは職能主義的考え方の場合はマッチするのですが、現状打破を後押しする人事制度を構築するためには、変革という経営課題に対する役割の軽重を縦軸とすることを優先すべきです。

システム構築に際しては、特定の個人をイメージするのではなく企業経営に必要な機能をイメージするべきなので、この役割の軽重も現在の社員を序列化するのではなく、役割による貢献すべき対象の違いをもって縦軸とすべきです。具体的には、経営への貢献、個別プロジェクトへの貢献、作業への貢献といったものが大きな区分けとなります。
今までの経験では、この代表的な役割を設定する場合に現状の役職をベースにすると組織運営のために不要なものが多く出てきます。一概には言えないのですが、次長や副・補佐がつく役職などはその必要性をこの段階で確認することをお勧めします。

貢献対象の違い 代表的な役割
経営への貢献 本部長、部長、上級技術者 等
個別プロジェクトへの貢献 現場代理人、営業担当 等
作業への貢献 若手社員、現場補佐、営業補佐 等
2)  横軸:仕事の種類の決め方

仕事の種類の分け方は、営業・施工・事務と言った専門分野による分類、実務担当・マネジメントといった分類の二種類があります。

A.専門分野による分類(職掌による分類)
まず、仕事の種類を専門分野の違いにより分類する訳ですが、建設業では技術・営業・事務の3種類に分類すれば十分でしょう。よく問題になるのが品質管理室や購買・積算といった部門の方々ですが、その職務の実態により分類してください。例えば、見積書の集計や清書が主な業務の積算であれば事務職に、コスト・品質などを考慮した最適工法の選定まで行うのであれば技術職に分類するなどです。

B.実務担当・マネジメント職の分類
さて、次に実務担当とマネジャーの分類です。今までの人事制度であれば、右図表の上のように専門分野の上位としてマネジメント層が存在していました。そして、マネジャー以外の上位等級者を専門職として処遇していましたが、その結果企業の技術力・営業力を担う高度な専門家が、社内で昇進競争に敗れたものとして印象付けられることが多く見受けられました。また、マネジメントに対するこれでは、社員の動機付けや企業としての変革が促進されるわけがありません。そこで右図表の下のように専門職と経営管理職のコースを完全に独立させることにより、専門能力に関するステイタスとマネジメントという役割の重要さを両立させるようにします。

このようなコース設定をした場合、経営管理職への登用は、該当する等級への昇格によるものではなく、経営者がマネジャーとしての適性を判断した上で、任命するものとします。(なお、図中の一般職は定型業務中心の社員、総合職は非定型業務中心の社員を意味します)

人事コース

<前へ 次へ>

目次へ戻る