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建設経営セミナー


■『建設業にフィットする人事制度の再構築』 〜建設業の現状を打破する〜

  第6回「期待水準の明確化」   【第42号 平成15年12月18日発行】
(株)日本コンサルタントグループ 経営コンサルタント 塚田 武志

8. 期待水準の明確化

フレームワークのそれぞれの区分に期待することを明確にした「期待水準」はさまざまな切り口もまとめ方があります。曰く、経験年数・職能・職務・成果などがそれにあたります。しかし、第37号で解説したとおり、現在建設業がおかれている縮小かつ混迷の時代に要求されるのは、受注高・利益額などの成果であり、また変革を促進するという職務であり、それらを「期待水準」をまとめる切り口として採用すべきです。

1)  成果の期待水準

受注高・利益額などの成果に関する期待水準は、毎年の経営環境・状況により違いますので、固定的に定めるのではなく、目標管理制度などの手法を使って毎年の契約方式とすべきです。

ただ、闇雲に毎年変動するというのは行き当たりばったりの経営に流れかねませんので、付加価値とその分配の指標などから、ある程度の目安を定めておく必要があります。粗利益額や付加価値といったより経営目的に近いところで基準となる期待水準を明確にして置き、それを達成するための一次指標としての受注高・出来高を毎年の期待として、目標管理制度を使って人事考課項目の中に記載していくことが、経営環境の変化に耐えうる定め方であるといえます。
それらについては、今後の人事考課に関する解説で触れていきたいと思います。

2)  職務の期待水準

職務の期待水準は大きく二つの観点から定められるべきです。定常的な職務と変革のための課題解決に関する職務です。

A.定常的な職務の期待水準

これは、例えば技術者が日常行っている、実行予算の作成や原価管理、安全管理などの職務です。ある程度の市場の成長が見込めた時期であれば、この「定常的な職務」を高いレベルでこなすことの出来る社員を増やすことが、即企業の力や業績の向上に直結していました。そのような環境であれば、この期待水準をより精緻なものとすることにより、社員が明確に自分の職務をイメージできるようになり、経営全体にもメリットをもたらすことが出来ました。

しかし現在のような環境では、「定常的な職務」を詳細に記述しても、期待するような成果は出てきません。ここは大事な職務のみを本質的な表現で記述し、改革を進める中で徐々に整備していくほうが得策です。

B.変革のための課題解決に関する職務

これは成果に関する期待水準と同じように、毎年の経営課題によりその内容は大きく変動してきますので固定化は不可能です。やはり毎年の目標管理制度などで人事考課の項目として取り込んでいくことが有効です。
ただし、経営改革への責任感を持たせるために、課題の遂行責任や管理責任を明確に規定しておいた方がいいでしょう。(図表参照)

【図表】
経営陣・管理職(事例)
等級 定義 対応職位
A 会社運営の基本的方針に基づいて、部もしくはこれに相当する包括的な独立分野の業務運営を担当し、部門に課せられた変革課題を部下に分担、遂行を管理する職務 部長
B 一般管理的な監督の下に、課またはこれに相当する組織の長として所管業務を担当し、・・・ 課長

これらの二つの観点で職務に関する期待水準を定めるべきですが、どちらともその内容を詳細に記述するというよりも、毎年更新・充実させていくという考え方で整備するようにしていくべきです。

また、定常職務と変革課題の両者とも経営の機能を変革・充実させていくという役割も持っていますから、自社の機能体系を整備し、その機能ごとに両者をまとめていくようにしてください。すなわち、社員の役割は経営機能の定常的遂行であり、その機能の改革・充実が変革のための職務であるという考え方です。それぞれを別のものとして捉えてしまうと、改革前後の職務が重複して存在することになり、企業効率を損ねる結果になりかねないからです。

機能体系を中心にした整備の仕方を次回説明いたします。

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