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建設経営セミナー


■『建設業にフィットする人事制度の再構築』 〜建設業の現状を打破する〜

  第8回「機能体系をベースにした職務期待水準の考え方」   【第44号 平成16年3月16日発行】
(株)日本コンサルタントグループ 経営コンサルタント 塚田 武志

10. 改革業務の期待水準の検討

社員のもうひとつの職務として改革に関するものがあります。これらもやはり機能体系から設定された課題に対して役割分担を行い、期間・程度に関する目標を定めて着たい水準を示すことになります。すなわち、改革に関する目標管理だと考えてください。

1)  機能別あるべき姿および課題の設定

設定した機能に対して、それぞれ自社にとってのあるべき姿を設定します。それぞれの企業が数年後にこうなりたいという状態を明らかにしたものです。このあるべき姿は経営理念・企業規模・業種・業態・地域等によってさまざまなものになります。したがって他社の事例をもとにアレンジするようなものではなく、企業ごとに経営陣・管理職クラスが話し合い、合意形成してください。

【図表5】
生産機能
大項目 中項目 小項目 あるべき姿 課題
購買機能 情報管理 市況調査機能 ・協力会社の生産性を… ・自社標準歩掛の設定
・協力業者歩掛評価手順の整備
発注機能 選別機能 ・発注業者をせず…
・発注に関し、配慮…
・業者の開拓
・見積徴収ルール整備
折衝機能 ・実行予算上に表現…
・契約条件を…
・単価折衝の基準決定
・購買文書の整備

あるべき姿が設定されれば、現状との差異を明確にすることにより自ずと取り組むべき課題が明確になってきます。図表5のように機能ごとにその課題を書き出していきます。この課題に対する社員個々の果たすべき役割が改革に関する期待水準ということになります。

このままでは、個人の改革に関する期待水準に落とし込むことが難しいので、部門長がマネジメントし、より詳細の改善施策まで検討した上で、図表6のような個人の期待水準=目標にまで落とし込むという作業は必要でしょう。一見手間がかかるようですが、このようなトップダウン的な落とし込み方をすることにより、企業全体の改革の中での社員個々の改革活動の位置付けが極めて明確になり、社員の改革へのモチベーションを高めることにつながります。

【図表6】
課題 改善施策 担当
10.標準原価の整備

・工種の抽出で約12工種
・ツールの設計は全体であわせることを考えている
1) 工種の抽出 所長
2) ツールの設計 所長
3) 発注単価の収集 所長
4) 検証  
5) 標準化の判断 次長
6) 公開・共有 部長

この課題は、経営計画に含まれる部門別計画やアクションプランといったものと同じレベルで検討されるものです。従って、すでに自社に経営計画があり活動をはじめているのであれば、その内容を機能別に振り分けることにより、日常的な職務との連動性を確保することが出来ます。


11. 管理職の職務期待水準の検討

先回、管理職と専門職のコースを完全に切り離すという考え方を解説しました。コースを切り離すということは、管理職の職務期待水準は専門職のそれの延長線上で検討されるものではなく、全く別のものとして設定しなくてはいけないということです。特に多くの建設会社ではマネジメントに対する管理職の意識や能力が非常に弱いので、マネジメントを中心とした職務期待水準を定める必要があります。

1)  管理職のマネジメント期待水準

管理職の職務は部下の日常業務・改革業務のマネジメントがすべてであるといっても過言ではありません。現在のような経営環境において、特に改革業務のマネジメントが強く求められる職務であると考えるべきです。すなわち改革のターゲットを絞り、計画を立案し、実行管理・計画の是正というPDCAのマネジメントサイクルをまわすことが管理職に求められているのです。このPDCAのサイクルを具体的な対象がわかるように記述することが管理職の期待水準ということになるのですが、その対象は毎年変わってしまうので、期待水準としては図表7のような全般的な書き方にとどめておくことが得策です。係員あるいは主任クラスの社員とは理解力が違うはずですから、具体化する必要性は上位階層ほど低くなるはずです。

毎年の改革ターゲットを考慮した具体化は、目標管理制度(あるいは人事考課)の中で実施するようにします。その考え方については、管理職の人事考課の月に解説します。

【図表7】
分類 職務期待水準
計画立案業務 会社の目標・方針・経営計画の作成に参画し、会社の方針に沿った計画を作成する
部門計画を部内に周知徹底し、各課(部下)に目標設定を指示し、その内容を点検する
計画管理業務 部門の業務実施計画の進捗状況を点検・確認し、問題点と改善対策の指示・指導を行う
連絡調整業務 部内の業務・意見調整を行い、部門業務の統一化及び効率化を図る
会社からの指示・命令事項にについて、部内に周知徹底しその遵守を図る
他部門及び社外関係者との調整を行い、問題点の改善を図る
その他 情報・ナレッジ管理業務、対外折衝業務、安全衛生管理業務、人事労務管理業務、教育訓練業務など

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