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建設経営セミナー


■『建設業における人事制度の実態』(3) 〜成果重視型人事制度構築研究会より〜
【第49号 平成16年8月17日発行】
(株)日本コンサルタントグループ 経営コンサルタント 塚田 武志

先月号に引き続きまして、アンケート結果に見る建設業の人事制度の問題点と経営を改善し成果創出に貢献する「成果重視型人事制度」構築の考え方を解説します。今回は、実際に制度を改革するためのちょっとしたコツをご紹介させていただきます。

3. 抵抗感の払拭

筆者の経験では、人事制度の改革の必要性を理解しても、実績のある社員ほど変化に対する抵抗感を持ってしまうようです。この抵抗感を放置しておくと制度の改革や定着を阻害する要因になってしまい、せっかく力をいれた改革も無に帰することがあります。そのためには、次の事に注意が必要です。

1)  メンバーの支持を得ること

抵抗を克服するためには、社員の支持を得なくてはいけません。そのためには、人事制度改革のプロジェクトにできるだけ多くの社員を参画させ、説得し、奨励する方法が有効です。
2)  情報をオープンにすること

情報が無いことによる不安から抵抗に発展することもあります。機密性が必要な情報は除いて出来る限り新しい人事制度に関する情報を社員に公開していくことが有効です。特に重要な情報については、その戦略的意図を経営者から積極的に社員に対し情報を提供するよう心がけてください。
3)  制度改革で変わらないものを明確にすること

現状維持を望むことからの抵抗もあります。これには「変わらないもの」を明確にすることで対処できます。特に、過去から大事にされてきたものであり、かつ変わらないものであれば抵抗感を感じている社員のよりどころになります。また、どうしても変わらざるを得ないものであれば、過去から意識を離別するための時間的余裕を与えるようにしてください。

4. 十分な移行期間の確保

経営改革はスピードが命です。どんなにすばらしい改革でも5年もかけて実現するようでは、すでに陳腐化してしまいその競争力を失ってしまいます。これは人事制度でも同じです。しかし人事制度は経営の改革・業績向上のためのシステムであると同時に、社員の生活や人生設計に大きく影響するシステムでもあるのです。この点を軽視し性急に改革をすすめてしまうことは、社員の安心感を損ない、ひいては働く意欲さえ失わせてしまいます。このような事態を招かないためには、新しい制度を社員に十分に周知することと、新制度の完全実施までの適切な移行期間を設けることが必要です。

1)  賃金の移行期間

賃金制度を改革すると必ずといっていいほど賃金額を減らさなくてはいけない社員が出てきます。これ自体はやむをえないことなのですが、制度改革と同時に賃金を減らすことは社員の生活に重大な影響を及ぼします。必要によっては対象となる社員個々の状況をヒアリングし話し合いにより、移行期間や減額方法を決定するようにすることが必要です。
2)  人事考課の移行期間

人事考課制度が変わる当初は考課者も考課内容や基準に自身が持てず不安を感じるものです。この不安感は被考課者にも自然に伝わり、考課に対する不信感が生まれることになります。考課者に対する訓練を十分に実施してもすぐに効果が現れるまでにはタイムラグが発生します。このような場合、例えば1年間は処遇への反映を限られた範囲にするなどの移行措置を講ずることも効果的です。

5. 最後に

これまで、建設業の現状を打破するための人事制度の構築方法を解説してきました。一貫して書いているとおり、人事制度は単体でその良し悪しを判断するようなものではなく、それぞれの会社が抱えている経営課題により構築すべき人事制度の形も変わってきます。ただ、

 (1) 職掌ごとや階層ごとに果たすべき責任・権限
 (2) それぞれに求める成果を明確にすること
 (3) 両者に見あう処遇を行なうこと

の3点はどのような人事制度にでも共通して言えることです。
それぞれの会社の状態を把握し、上記3点を自社にあった形で具現化し、現状を打破されるよう取り組んでください。この連載が、みなさまの会社の業績向上に役立てていただければ幸いです。
ありがとうございました。

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