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建設経営セミナー


■『建設業のリスクマネジメント』(2) 〜管理の対象に置くリスク I 〜
【第51号 平成16年10月15日発行】
(株)日本コンサルタントグループ 経営コンサルタント 石原 勝信

3. 管理の対象に置くリスク I

管理の対称に置くリスクは2つの種類があります。ひとつは、品質・工程・安全などの施工管理・施工手順、契約上の追加・変更、下請契約などに関わる法律や規定に対する行動の不確実性により起ってくるリスクです。もうひとつは、現場の責任としてルール・知識の徹底によって回避していかなければならない仮囲の中で存在するリスクがあります。
これは、決められたことがキチッと行われれば回避できる種類といえます。

1)  建設業法に関するリスク

元請A社の作業所で働いているという職人から「3ヶ月分の労務賃金が未払いとなっている。生活に支障をきたしているので、元請として立替払いをして欲しい」といった電話が入ってきた。工事を発注した下請B社に確認すると、その工事は二次下請C社に丸投げされていて、その孫請業者が使っているグループの親方であった。B社はC社と付き合うのが初めてで、詳しいことはよく解っていなかった。

建設業法では、元請としての特定建設業者は下請業者の労賃不払いの立替払いを行うように規定しています。また、一次下請も一括下請の禁止事項に違反していることから、元請業者の施工体制台帳の不備も考えられます。このケースでは、元請業者が全ての業者の状況、施工体制などを的確に把握していなかったために負担しなければならないムダが発生します。
下請倒産での労賃の二重払いや、公共工事においては指名停止処分など社会的な信用の損失に結びつきます。
下請による分業体制で行う建設工事では、元請の責任として、発注者の信頼を裏切る事の無いように、専門工事業者の施工体制が整備されているか確認をし、下請などの業者の状況を把握して、施工トラブルや品質不良、賃金不払いなどが発生しないように管理を行わなければなりません。
建設業法に関するリスク管理として、業法で定める現場(元請)としての義務などを理解して、間違えの無い活動に結び付けてく必要があります。

請負人(=現場代理人)の義務
仕事に着手する義務
契約の内容に従った仕事をする義務
※不適当な時の専門的知識に基づいた注意・質問をする義務を含む。瑕疵担保責任に関る
仕事の完成の義務 ※結果として完成しなかった場合は損害賠償の義務を負う
瑕疵がある場合の一定の瑕疵担保責任を負う
元請として建設工事を下請に出す時
一括下請の禁止
不正な取引方法の禁止 ※独占禁止法に関わる
下請業者の意見聴取
下請代金の支払期日 ※下請が特定建設業者である場合は除く
下請業者の労賃不払いなどの立替
建設工事を施工する時
施工体制台帳…工事現場ごとに備え置かなければならない
施工体系図の掲示
技術者の配置…管理技術者、主任技術者 ※公共性のある施設の専任
下請業者への順法指導、違反是正
2)  施工管理に関するリスク

A作業所は、所長と3年目の社員の2人でマンションの建設工事を行っていた。(この状況で所長には数多くのリスクがかけられている) 所長は、工事進捗における施工管理の注意点などを打合せにより指示・確認をしていた。何とか工事が完了し3年が過ぎたある日、マンション購入者から外壁からの漏水があるとの瑕疵を指摘された。

品質に関る施工管理では、標準作業手順や納まりなどが決められています。特にタイル張りなどによってきれいに化粧がされた建物では、隠れた瑕疵を作ってしまうような、施工管理が十分に行われないリスクが存在しています。事例における原因はいろいろな場合で考えられます。

打継部の処理を適正な作業手順、材料の使用、養生期間・・・で行われなかった。
外壁にクラックが入っていることを知りながら、適切な漏水防止の処理を行わずにタイルで化粧をした。
施工図に記入されている誘発目地の管理が不十分なため、施工忘れのまま工事を完了させた。

などです。
「施工管理のやるべきことをやらなかった。」「適切な処理を行わなかった。」といったことが瑕疵担保責任から修繕工事を行わなければならず、それにかかる費用は工事中に行う手直し工事の何倍もかかってしまうことになってしまいます。
それぞれの会社においては、今までの体験から瑕疵を発生させないように、品質に関る検討会が行われ、瑕疵予防提案のような品質管理計画を策定しているはずです。今の建設業ではこのようなことが形式化されて、本当の管理(計画⇒実施⇒確認⇒改善)が徹底されないリスクが放置され、大きなトラブルになって戻ってきたといえる事例です。

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