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建設経営セミナー


■『建設業のリスクマネジメント』(3) 〜管理の対象に置くリスク I 〜
【第52号 平成16年11月16日発行】
(株)日本コンサルタントグループ 経営コンサルタント 石原 勝信

先回まで記載させていただいた内容のように、我々の業界で仕事をしている限りでは、『当たり前なこと』として行っていることが、トラブルを起こしてしまうケースがあります。そして『どうしてこんなことが』というような経営に悪影響を与えるような大きなトラブルから、現場内で処理をしているものの無駄を生じさせているトラブルまで、現実に発生しています。
安全管理についても同じことが言えます。やるべきことが決まっていて、事故0を目指しているはずなのに、相変わらず事故は減っていません。常識的に我々が解っていても、KYなどが本当に目的を達成するために実行され、形式化していないか? ということに目を向ける必要があります。

3. 管理の対象に置くリスク I のつづき

管理の対称に置くリスクは2つの種類があります。ひとつは、品質・工程・安全などの施工管理・施工手順、契約上の追加・変更、下請契約などに関わる法律や規定に対する行動の不確実性により起ってくるリスクです。もうひとつは、現場の責任としてルール・知識の徹底によって回避していかなければならない仮囲の中で存在するリスクがあります。
これは、決められたことがキチッと行われれば回避できる種類といえます。

現場代理人のAさんは、継続的にお付き合いをしている営業上大切な発注者からの工事を行っている。工事進行中において、さまざまな追加や変更が発注者から出され、顧客満足を得るためにすべて対応した。建物が完成しようとするころ追加・変更の精算として3000万円の見積書を提出したが、今回は500万円しか払えないと言われてしまった。今後の営業的な考えから、現場の中で処理をすることにした。

このようなことが大なり小なり行われて、現場が創出すべき利益を失っていることを良く見かけます。これは、顧客満足を得るという意味を間違えて実行しているケースです。
「顧客満足を得る」とは、契約内容に基づく建物(機能)を提供し顧客満足を達成することなです。現場代理人が『やらなければならないこと』は、契約内容に従った工事をすることです。顧客の要望として言われたことは、会社のルールを無視し、何でもやれば良いと言う事ではありません。

工期的な問題や、技術的な検討を行い
追加や変更の依頼ごとに見積書を作製し、提出する
内容を確認し、合意の上契約を結ぶ
※契約の窓口が営業であれば、遅滞が起こらない様に現場での役割を進める

といったことが、会社のルールとして決められていることが必要であり、現場代理人は契約として成立していないことは基本的に実行できないという姿勢を持つことが重要です。

請負の三原則は、着工すること 進行すること 完了すること

です。工期などを含め契約内容を守らなければ債務不履行として損害賠償を請求されることがあります。
発注者の責任となるようなるような事由が無い限り三原則を守らなければなりません。したがって、それぞれに関るリスクを十分に考慮した上で、請負契約が締結されていることが必要となります。そして現場代理人は、契約内容に従った仕事をする義務を持っていますから、契約の内容をよく理解していなければならないということになります。

請負におけるその他の知識

建物を完成することを約束・実行し、その対価としての資金を回収する請負は、建物が完成しなければ債権が発生しないということになります。したがって、引渡しをするまでの建て替え工事をしている建造物は担保されている債権となって、施工者側の所有権・留置権が存在しています。発注者側の事情によって工事代金の回収が出来なくなるなどの場合には、債権の弁済を受けるまで留置権を主張するために、現場自体に『占有の主張』を行うというようなことが現場代理人に求められる行動になります。

ここまでは、建設業法などの法令の遵守、品質・原価・工程・安全などの施工管理を中心とした「日常の業務、契約に関する業務」などの内容から事例を取り上げました。通常の現場で確実に実行されていなければならないことに対する不確実性を管理の対象において現場経営を行うことをリスク管理 I としました。
次回は、近隣住民などからのクレームに対するリスクマネジメントについて解説いたします。

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