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建設経営セミナー


■『建設業経営に活かす経審戦略』(3)
【第56号 平成17年3月15日発行】
(株)日本コンサルタントグループ 経営コンサルタント 菅野 好則

3. 経審に対する心構え

1)  経審という名の情報

経審という制度は知っていても、「そんなものは会計士や行政書士に任せておけば良い。内部機密情報だから公開する必要もない。」と考えている経営者や官庁担当営業が意外と多いのには驚かされます。

地方の完工高100億円程の企業にお伺いしたときのこと

官庁営業担当役員という要職の方(俗に言うOB)に、「この県のランク別経審点数範囲を教えてください」とお聞きしたところ、「地建・県・市町村それぞれ違うからね。他と違ってここは特殊だよ」という回答でした。
具体数字がなかったため、再度お聞きしましたが、「会計士さんが旨くやってくれているから」と、最後まで点数・条件を教えてもらえませんでした。

これは、経審ランクの範囲を知らなかったのか、オープンにしたがらなかったのか判断がつきませんが、唯一公平・公正な制度として運用されていますので、一担当者のための制度ではないことをあらためて考えなければなりません。
これは企業だけでなく、発注者側にも言えることです。都道府県単位で情報開示の足並みがそろっていないこと自体に問題があるかもしれませんが、情報開示が進んでいる都道府県では、業界情報誌に主観点数や必要技術職員数まで一覧で掲載されています。
ちなみに、主観点数まで公開している都道府県は約30ヶ所になりました。

同じ会社の経営者に、決算状況をお伺いしているときのこと

「当社では、利益が出た・出ないで社員に変な動揺を与えたくないために、財務内容をオープンにしていません。社外に情報を漏らすものもいるため、せいぜい役員までにしか見せていません」
という答えが返ってきました。

情報漏えいの信頼関係については別途考える必要がありますが、(財)建設業情報管理センターで情報が開示されており、競合他社からも知られています。
若手社員もインターネットを駆使して知っています。知らないのは、会社を担っていくべき幹部・中堅社員です。必要情報は何らかの形で入手できるようになりましたし、世の中がそこまで進みました。経営者が頭を切り替えなければ、あなたの代で会社は終わってしまいます。
2)  経審はナビゲーションシステム

最近、「勝ち組・負け組」という言葉がよく使われるようになりました。中には、「一人勝ち」と言われる業種まであります。「不況」といわれ、久しくなりますが、経営者としてはどちらも人ごとではありません。
建設業界の各種統計数字を見ても、ピーク時と比べれば1社あたりの完成工事高の絶対額(単純割り)が減少(平成4年と平成15年:1.59億円→0.96億円)しているわけですから、現時点では体力勝負の感があります。
しかし、我々が勝ち組となるためには、体力勝負では限界があるはずです。かといって、奇をてらったり、時流に乗っているだけの企業では長続きしません。本業に堅実で、バランスの取れた経営をしっかり行っていく必要があるわけです。
こうした優良企業群に共通しているのが、

『企業が、自社のあるべき姿を持っている』
『企業が、ちょっと時代の先読みが出来る』
『企業が、数字に強い』

ことです。
あえて、先頭に「企業」をつけました。「経営者」や「営業部長」、「経理部長」個人の時代は終わったからです。
経審は、その機能の一部を数字で補完してくれます。優秀で、正直なナビゲーションシステムが無料で、それも官庁お墨付きで手に入ったわけです。あとは、それを旨く使いこなさなければなりません。道具は使いようです。その情報を基に、最終判断を下すのは経営者だということだけは忘れないでいただきたいと思います。

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