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建設経営セミナー


■『建設業の事業再構築戦略』〜建設業の現状を打破する〜

「全体最適化のための事業構造をどのように考え、組織体制をどう作るか等について」(2)
【第60号 平成17年7月22日発行】
(株)日本コンサルタントグループ 経営コンサルタント 黒田 瑞祥
【前回のつづき】

 3億、4億の工事量の会社であれば新しい事業を考えることによってのプラス効果は期待できるが、例えば20億以上の会社では新規事業による売上額がトータル売上額に対する相対額が比較的小さく、受注額に対する貢献度比率は下がる。
 例えば土木を中心にしている2億程度の企業が農業に進出すると仮定すると、売上が半分になり完工高が1億になって農業の売上が5,000万円だと、実質1.5億の全体売上になる。これを20億の企業で考えると、売上が半分の10億になり、農業の売上が前記の2倍の1億であってもトータル売上は11億にしかならない。従って絶対受注額はそれほど増えないし、そのための新規投資設備を考える経営者としてもなかなか踏み切れない場面である。
 また、自社土木工事の技術を棚卸し、他社よりも優れている工法・技術に特化して受注競争に勝ち受注を確保するという経営者もいる。言葉は分かるが、実際の実務上どのような経営戦略と結びつくのか、ではその実行計画はどこまで完成されているのかとなると多くの会社は、新しい工法の調査・勉強会の実施で、担当者が各研究会に出席する程度で1年経っても2年経っても何の効果もあるいは実績もないのが実態である。
 一方では、今後地場(地方)において公共市場での新規物件はなくなり(実際なくなっている)、新規の建築物件では生きていけない。したがって建築工事の延長であるメンテナンス工事に出ていくことを事業の柱にするという経営者もいる。これも経営戦略として全体的な方向づけの中では正しいだろう。では具体的にどうするのか、常にトップが悩まなければならない問題である。(メンテナンス工事は新規物件に比べて例外を除いて金額単位が極端に小さい。したがって量を確保する具体的計画がなければならないし、実務上軌道乗せするには建築の現場代理人の再教育と人的な量の充実が必要になる)

 悲観的なことばかりを述べたが、実際の対応として着実に事業構造(事業領域)を変えつつある地場の建設会社は各地に出始めている。
 例えば、土木(70%)建築(30%)官庁中心の会社が民間の建築の割合を増やしていきながら受注をある程度確保しているというのはよく聞く例であり、実際に各県に必ず何社かは存在する。そのような会社で最初に直面しなければならないのは、他社との激烈な価格競争である。(※価格競争力は徹底したコスト面の競争力を、会社として組織的に構築することができる会社のみが有することができる)
 今後もこのような会社はある程度経営戦略として民間一般住宅に進出することであるが、他社が成功したからといって我社も成功するという保証はどこにもない。

土木が中心の地場建設業の事業構造(事業領域)の考察

 前述のように建築部門があればよいが、地場の中小建設業の大部分は土木のみを中心に事業展開を図ってきている。したがって本業を重視して徹底したコストダウンを中心に展開し、受注が減ってもその分利益を稼げばよいという理論も成り立たないわけではないし、実際に各県内でも2〜3社は近隣の同業他社に比べて生産性が極端に高い会社が必ず存在する。
 したがって生産性を2倍(原価としてのコストは約2割上がることが想定される)にし、徹底した経費の見直しをかければ、リストラをせずに生き残れる可能性はある。しかしながら、社員に対して生産性を2倍にするという目標を設定すると現場部門からまず発せられるのは「無理」という言葉である。その後それを実行している他社の事例を説明すると、次に返ってくる言葉は「他社ではできるが我社ではできない」である。その理由の最たるものは高齢化というものである。いろいろ理由を上げながら、できないことを強調し、最終的な結論は「コンサルタントは当社の現状を把握していない」ということになる。
 これを払拭するには、「できる」という意識を持たせることが第一であり、できる可能性がある、チャレンジしてみようというように会社の雰囲気を変えることである。これがトップを含めた経営層の責任であり、この意識が芽生えない限り、方法論検討は砂上の楼閣である。逆にこの意識があれば事業構造(事業領域)における具体論は後からついてくるものであり、その後の展開はかなりの確率で成功するものと考えられる。

 この意識改革(リスクに対する共通の危機意識)をいかに継続して持たせ続けるかがポイントであり、第一に今後要求されるのは社長の日々の行動であるといっても過言ではない。極論すると社長が地場の建設業のすべてである。(当たり前のこと。他業種でも同じである。)

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