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建設経営セミナー


■『建設業の事業再構築戦略』〜建設業の現状を打破する〜

「全体最適化のための事業構造をどのように考え、組織体制をどう作るか等について」(3)
【第61号 平成17年8月22日発行】
(株)日本コンサルタントグループ 経営コンサルタント 黒田 瑞祥

 事業構造を考えるとき、第一に5月、6月、7月、8月の期間いかに原価を抑えきるか、あるいはこの間に出ていく経費の大部分を占める人件費を収支トントンにする具体的事業構造を考えることが1つの生き残りの緊急対策になる。ある企業の最近の例では社員の多能化(例えば土木の技術者プラスαの技術者(π型人間)。最低でも2つの専門領域を持った人間に今後育てて行く考え方)と効率化を発想し、事業構造を変えつつあるが、まだまだ実験段階である。 事業構造を変えるには以下のようなことが大事になる。

1. 当社の自然環境を考えたときに実行可能な事業構成(事業領域)は
2. 当社の今までの技術はどこまで生かされるか
3. 社員に新しい技術を取得させる必要があるケースでは実務的にどう対応すべきか
4. 新しい事業構造(事業領域)を考えたときの社員としてキーになる人間はいるのか、または
  外からスカウトの必要があるのか
5. 考えられる投資金額あるいは投資設備は何が必要か
6. 調達資金は(基本的には金融機関から)

 今後とも各地域におけるその企業独自の事業構造が構築されていくであろうが、経営者層として一番困難な時期を生き残るには、今後の自社の自助努力しかなく、助けてくれるところはないと考えなければならない。
 事業構造に基づいて組織体制を考えたとき、過去からの延長線上での組織体制は明らかに組織の老化と劣化現象を起こしていると捉えるべきである。しかし多くの場合、社長及び経営層はそれに気づいている。既に気づいているのに実際対応が未着手であるケースが目立つ(すぐに考えるのがリストラである)。各部門長の意見を聞きすぎた部門最適になっており、常に全体最適のための事業構造と組織体制ではなくなっている。組織の風通しをよくし、社長の英断に基づく意志により企業全体の活力を推進し、今後の環境変化に生き残っていくようにしなければならない。
 加えて、事業構造における全体最適化は、経営トップ層自ら構築しなければならない。意思決定の非定型的業務であり、データによる積上げによってできるものではなく、一番上位の戦略と深く結びつき、これはコンピュータ(IT)がどんなに進んでも社長(経営層)にとって経営として残された最後の本来機能と考えられる。

 以上のことを受けて組織体制をどうするかである。組織体制は会社の規模によって当然異なるべきものであり、過去の拡大のときは企業にはそれなりの組織が必要であり、現状のように受注が下がる中、縮小せざるを得ない企業ではそれに見合った組織が必要になる。
今回は規模想定を5億前後の地場の土木工事会社に絞って考えてみる。規模がそれ以上の会社は参考組織体制と考えてほしい。

○  組織体制

社長と次の責任者(常務、工事部長でもよし)が工事内容すべてを把握できる体制にすること、わかりやすい組織であること。
○  現場管理(工務機能の強化)

日々の工事全体の進捗が常に捉えられる組織体制であること。社長及び社長に次ぐ人が常に現場が把握でき、技術的な問題を含めて対応できること、加えて日々の原価が把握されていること、利益の源泉は日々の工事の進捗にあり、それ以外にはない。したがって現場の社員が懸命に仕事をしているからではなく、どのくらい仕事を的確に実施できているか(出来高は直傭に比例しているか)を徹底的に追求すること。
○  営業管理

積算機能は工事部門における機能ではなく、受注を取るための営業機能であることを強く意識し、工事部門とは基本的に分離すること、併せて実行予算を工事部門では作成させないこと、社長もしくは実行予算作成者を限定し、施工部門はその実行予算で工事を終了させることを強く意識づけること、外部に仕事の一部を依頼する場合(外注業者を含めて支払管理、価格交渉)は工事部門にさせないこと。
○  管理部門

5億前後の管理部門には担当者2名以下とし、どんなに忙しくても社長もしくは次の人が管理すること、コンピュータ(IT)に関して社長がよく知っていること、例えば、官庁関係の書類作成(施工計画書、検査書類、設計図書、契約書、ISO書類、安全管理書類を含む)において、今後とも提出書類は減らないと想定して会社としての標準化を徹底すること。

これらはひとつの例だが参考にしていただきたい。

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