1.建設活動へのVE活用
VEは、1960年代後半にわが国の建設企業にコスト低減手法として取り入れられました。しかし、その後は例外的な企業を除くと、景気がよくなって(なつかしい響きですね)仕事量が増えるとVEは忘れられ、逆に景気が悪くなるとまたVEに取り組む企業が増えたりしてきました。そのためか少し前まではVEといえばコスト低減と考えられていましたし、今でもそうした理解にとどまっている多くの企業が見受けられます。
しかし今では状況は大きく変わりました。図−1に示すように、単に自社利益確保のためではなく、もっと広い立場での、顧客や発注者に軸足を移した息の長いVEの活用が急務となっているのです。


2.VEマネジメントの必要性
さて、企業においてVEを活用して成果を上げるためにぜひ考慮しなくてはならないことがひとつあります。VEの考え方そのものは個人でも利用することができますが、VEの本当のよさはやはり組織として取り組むことによって初めて実現できることにあります。
そのためには、マネジメントの基本である計画(P)、実施(D)、評価(C)、是正(A)を活動全体にも、また個別のVE案件にも適用することです。具体的には、VEの推進目的を明確にする、VE推進計画を立案する、推進組織と実施組織を明確にする、評価体制をつくる、教育を実施するなどがあります。

3.建設VEには工夫が必要
VEリーダー資格の受験要件になっている基礎研修(12時間以上)を受けた人のVE実施手順に対する感想の多くは、「VEは素晴しいけど、こんなに時間のかかることはとてもやっていられない!」というものではなかったでしょうか。建設業では、よく言われるように単品現場生産であること、現場の担当人員が少数である場合が多いこと、現場立ち上げ時期は特に目の回る忙しさであることなど、VEを実施するうえでの制約が多いのが事実です。
そこで、VEが建設業界で使われ始めて以来、建設の特徴にあった手法の開発が精力的に行われてきました。重要な課題は、時間をかけてでも検討することが必要です。でも、通常の工事ではひとつのテーマに時間をかけることは困難です。ではどうするか。数多くのテーマに対して、現行より良くなる案をそれぞれ短時間で出せれば、トータルでは大きな改善になるでしょう。つまり完璧な改善でなくてもよいから「ベストよりベター」を、ただし、たくさんのテーマでねらうのです。

4.建設VEの適用段階と適用対象
建設企業でVEを適用する場合、最も一般的なのが工事案件もしくは設計施工案件などのプロジェクトへの適用です。図−2に建設プロジェクトのフローとVEの適用段階を示します。(もちろん、これ以外に技術開発や業務改善にも適用できます。)

このように、VEは各段階での適用が可能ですが、上流側で適用するほど効果が大きいことは明らかです。基本計画や基本設計段階では20%以上のコスト低減も十分可能です。
適用段階とともに考えなくてはならないのが、VEの適用対象の問題です。以前に示したVEの定義にあったように、VEは「製品やサービス」、つまり「もの=ハード」も「もの以外=ソフト」にも適用できます。
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