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建設経営セミナー


■『建設業のコストマネジメント〜現状と進むべき道』(9)
   〜必要利益確保のためのコストマネジメント〜
【第70号 平成18年6月12日発行】
(株)日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所
経営コンサルタント 宍戸 利彰

前回は原価企画の基本的な考え方をご説明しました。
今回は、原価企画運用の仕組みに注目することで、原価企画の本質により深く迫って行きたいと思います。



1.利益計画の設定と全社共有化

 建設企業にとって、厳しい環境の中で利益目標を達成することは至難の業です。しかし、それは環境のせいばかりではありません。企業の側としても、改めるべきところはこの機会になんとしても改めなければなりません。そのひとつが、現在の硬直的な組織構成ではないでしょうか。建築と土木、あるいは営業と設計と工事など、縦割り組織が企業利益の確保の上で大きな弊害になっています。顧客からみれば、事業の段階が進むたびに担当者が変わったりするという不便なものですし、一方、企業からすれば、段階ごとにその部門の成果とともに責任もされてしまうのですから、プロジェクトの利益達成に最初から最後まで責任をもつ絶対的な管理者が不在という事態になっています。
 原価企画は、こうした状況を根本的に変革するもので、組織間の連携を密にし、業務に太い横串を通すことで、これまでなしえなかった確実な原価のつくり込みを実現します。
 利益目標の達成には、まず関係者すべてがその目標値を自らの目標であると認識し、達成のために各自が責任を持って最大限努力するという意識の統合が必要です。つまり、利益計画の共有化が原点となるわけです。これによって、従来から利益創出の主要部門とされる工事や調達部門はいうまでもなく、営業部門も常に利益を意識した営業活動が要求されますし、設計部門も高いコスト意識をもって設計を行うことが必要となります。
 利益計画の共有化には、中期利益計画から物件別利益計画の決定までのプロセスに、営業部門、工事部門、管理部門が主体的に関与し、利益達成に対する共通認識を醸成することが不可欠です。
 利益管理の考え方を図−1に示しますが、このポイントは次の3つです。
(1) 営業部門、工事部門がそれぞれの利益目標を明確にし、必要利益を共有化する。
(2) 利益目標は願望ではなく、営業データと密接にリンクしたものとする。
(3) 3年以上先までの必要利益に基づいて利益計画を策定し、少なくとも四半期ごとに達成状況を確認・評価し、計画達成に必要な方策を立てる。

図−1 利益管理表の例
図−1 利益管理表の例



2.フェーズド・マネジメント(原価企画フローと会議体)

 上で説明した利益管理活動を総合的原価企画とするならば、ここで説明するのは個別のプロジェクト原価企画というべきものです。
 プロジェクト原価企画では、プロジェクトのフェーズ(進行段階)ごとにコストあるいは利益をコントロールし、最終的に利益計画にみあった許容原価に収めることで、計画利益を確保することが大きな特徴です。まずフェーズごとの原価目標を設定し、その達成を営業、工事、購買、設計などの関係者に割り振ります。これをコストプラニング会議(CP)の場で行うのですが、その際には、VE計画会議を実施して許容原価を追及します。各担当者には、与えられた目標を決められた期間内になにが何でも達成する決意と行動が求められます。各担当者が検討し持ち寄った対策はコストチェック会議(CC)で確認され、目標をクリアしていれば次の段階、例えば応札に進むことができるのです。クリアしていない場合は、再度VE検討を行って目標達成に努力するなり、時によってはその案件をこの時点で放棄する決断も必要になります。特に設計施工のプロジェクトでは、基本計画、基本設計、実施設計など、多くのフェーズに分かれますので、CP、CCを繰り返し実施することになりますが、CCと次のフェーズのCPを同時に行うことで時間を節約することができます。
 このCP、CCを総称して原価企画会議といい、原価企画活動を進める上で、目標の共有化と組織力の結集という点で最も重要な会議体です。


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