公共工事の発注量が今年度は20兆円を下回り、来年度も減少傾向である。一方、民間工事は横ばい状況であるものの大都市の活況が平均を押し上げているのが現状である。ここ数年は建設投資全体で50兆円をやや上回る水準である。最盛期の工事量と比較すれば40%以上の減少であり、建設業界の構造改革も一段と加速されている。これらのトレンドが建設業経営にどんな影響をもたらすのかを5項目のキーワードから考えてみよう。

1.公共工事の品質確保促進法(品確法〉による技術重視の入札改革
公共工事の品確法は今年から本格的に実施段階に入っていく。淘汰されない(減少しない業者数)業界にいよいよ施工技術力を焦点にしてふるい落としをしようとしているのだ。そのいくつかを挙げてみよう。
(1) 施工実績ある現場代理人を選択する→CPD(継続的能力開発)を採用して、研修、VE提案、表彰などの教育履歴のポイントを提出させる。
(2) 技術提案力、コミュニケーション能力ある人を評価する→入札時にヒアリングして技術提案できる人、近隣と対話できる人を高く評価していく。したがって、技術者を鍛えて育成する意志のない建設会社は公共市場から消えていく可能性が高いと考えた方がよい。

2.改正独占禁止法の実施
改正独占禁止法の今後の取締り強化は自助努力を狙っている。談合から決別宣言した一部の大手ゼネコンの試みが地元ゼネコンにどこまで波及するか。少なくとも監視された状態の営業活動から受注に結びつけるためには、企業体質を改善して競争に勝つコスト、提案、信頼施工を成し遂げる経営に転換することが急務である。

3.指定管理者制度の実施
指定管理者制度は全国30万箇所の公共施設の管理運営を民間に管理代行、管理運営させようとするものである。公共施設は駐車場、美術館、公営住宅、公園、競技場など多様である。
現在これらの管理運営費は推定10兆円あまりといわれ、建設会社が参入できそうなビルメンテ、公営住宅や公園、駐車場管理の市場規模は数兆円である。そもそもこれまでの業務委託制度は約3,400の行政の外郭団体に業務委託され、この費用が指定管理者制度に移行されると、その差額が財政負担を軽くするところに意義がある。今年の9月をもって現行の管理委託制度は廃止される。例えば駅前駐車場の指定管理者制度の応募を想定してみよう。すると駐車場の有効利用や駐車料金を増やしていく企画を提案する。入札に勝ち指定管理者に選ばれたとする。
当初は管理運営を任されるが、やがて施設改修を提案して、その駅前再開発や複合施設などの今後の行政計画が早く情報収集できるであろう。このような読みをすることも建設会社が生きていくための手段の一つに値するはずだ。

4.性能規定の更なる進展
性能規定は今後の総合技術評価入札の切り札になるであろう。なぜこれが入札に関係するのだろうか。それは行政がコスト削減を至上命題としているからだ。民間技術を導入して安く施工する知恵として、VEやデザイン&ビルド方式と共に性能規定の出番である。
ガードレールを例に説明してみよう。施工は図面と仕様書に基づき行うのが通常であり、これを仕様規定と呼ぶ。一方性能規定とは、例えば10tダンプが時速40qで衝突しても飛び出さない強度を持つものという性能基準が設定され、技術の裏づけを示せばワイヤーでもフェンスでもコンクリート擁壁でも丸太でも構わないというものである。実験によりその性能を満たしているかどうかを証明するには金がかかる。合理的な施工提案は技術力のある大手が有利になる。地元企業は共同開発や地元大学と共同実験する積極性が必要である。一歩進んだ企業は『NETIS』(国交省の新技術情報提供システム)を活用している。インターネットを通じて一般に民間技術を紹介しているシステムである。行政の求める技術改善・開発を経営に取り入れる必要があるのだ。

5.温暖化要因(CO2)抑制の実施
京都環境サミットで地球温暖化の原因であるCO2 の排出量を2008〜2012年の間に1990年水準の6%減にするというものである。2003年時点で7%増加していると言われている。厳しい夏の暑さなど電力要素が増大すればそれに比例してCO2 も増加する。そのため省エネを推進するESCO事業(エネルギーサービスカンパニー)を経済産業省でPRしている。ビルや工場内の省エネを診断して新しい設備変更や改善を提案していくものである。これらは設備関連の新しい事業として注目されている。また、役所施設をCO2 の少ない環境配慮型(これをグリーン庁舎という)にしていく政策も進んでいる。今後の環境対策を知らずして建設業経営はできないのである。
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