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建設経営セミナー


■『建設新時代トレンドから読む経営戦略』 〜今、求められる経営の布石の打ち方〜

第5回 『現場営業の実践能力』
【第79号 平成18年11月29日発行】
(株)日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所
コンサルティング研究部長 中村 秀樹

 最終回では減少する工事に対して、現場代理人がいかに営業支援するかを考えてみよう。

 “初めに受注ありき”は請負業にとって死活問題だからである。
 “現場営業”という言葉は皆知っている。
 最近ではリストラによる社員数減少のため、営業戦力は現場を拠点にすることが重要になっている。大手ゼネコンの所長研修で“現場営業”の仕事を質問してみた。すると、「受注につながる営業情報を現場で収集する」が最も多く、次に「良い施工をして次の仕事も受注できるように信頼を高める」が続いた。さらに「自社の施工実績を積極的にPRする」、「発注者とよい人間関係をつくる」である。今後はずばり工事の受注が現場代理人の役割と認識すべきである
 事例を紹介してみよう。

(1) ある都市の水道局発注で開削工法による配水本管の布設工事だった。埋設物が輻輳、錯綜しており、全工事延長の大部分で路線や工法の変更を余儀なくされた。発注者と道路管理者の事前協議が不十分であったことも要因だった。ここの現場所長はこの変更業務を発注者への支援として2週間あまり専従し、発注者の変更担当者からの信頼を高めたのだ。そして自社特殊工法を別途工事の設計折り込みにPRした。そのとき自社の工事実績、特殊工法のメリットなど技術者ならではの営業説明を行ない、何よりその信頼があるために後を引き継いだ営業担当者はスムースな営業活動ができたということだった。
(2) ある舗装会社の現場代理人が余った合材の処分方法を考えた。まずコンビニの駐車場など沿線にある店、病院、工場などに工事中ご迷惑をおかけしますと挨拶に行った。そこで入口付近の舗装状態をチェックし、余った合材をどの程度使用するかの予想を立てた。そして何軒かに次のように話した。「ご迷惑をおかけしていますので、さしでがましいようですが、お詫びとお礼に入口付近の舗装を少し補修させていただこうと思います。よろしいでしょうか」と。これなら相手も気持ちの上でありがたいと思い、補修をやって後で請求書が来ることはないと思うはずである。「余った合材を入り口の補修に使用させてください」と言えば、不快感を持つだろう。言い方1つで結果は異なるのだ。
(3) ある土木会社は大手ゼネコンの建築工事現場を見つけると、現場事務所に顔を出し、「仮設工事や水道管の切回しなど小口工事をやらせてください」と積極的に動き回っている。数十万円からの雑工事は地元企業への発注の方が都合良いとのゼネコンの声をヒントにしている。その企業は建築の外構工事を更に受注する糸口にしているのだ。
 公共工事が少なくなる中で、土木担当は建築工事の一部を監督する役割もあるのだ。土木の会社は特定施主の顔を見ていれば営業も工事もうまくいく。しかしながら、不特定施主との雑談や商品説明には慣れていない。むしろ苦手といえる。このような立場で上述の具体例をヒントに営業できる現場代理人のポイントをまとめてみることにしよう。

1.雑用型現場営業訪問
 他社の工事現場事務所を訪問して、ちょっとした雑用、例えば仮囲いや仮設道路などの小規模工事を受注する。特に大手ゼネコンの現場ではまだ、着工前の準備工事で発注は済んでいない。そこに目をつけることである。まさに地元のコンビニ的工事請負の発想である。また、住宅やマンション等の工事後半の外構や宅内配管を受注するために同様な訪問する。そのための工事体制を作っておくことである。
2.工事関連型現場営業訪問
 下水工事に伴い近隣に工事説明行くことがある。そのとき水洗トイレやリフォームを案内することは当たり前である。ただ案内するのではなく「工事でご迷惑をお掛けしていますので原価(本当は経費も利益も含む)にて施工させていただきます」と顧客メリットを強調する工夫が必要である。ここがサービス業に慣れていない工事技術者の弱点である。
 ある無口な現場代理人は誠実な態度で顧客訪問して受注獲得している。彼の語り口は技術者としての信頼に基く、落ち着いた説明である。話し過ぎは却ってマイナスになる。自分の特徴を生かすことである。
3.ニーズ掘り起こし型現場営業
 顧客が困っていそうな部分を見つけて提案していくことも効果的である。雑談ができることが重要である。その人が土地を探しているとか、テナントがこの当たりに出店したいとかのニーズを集めてパイプ役をするのである。地域の情報集約から受注のヒントをつかむことだ。良い意味の地域密着といえそうである。

 これまで5回の連載において、時代トレンドとその変化に対応できる人材のあり方、育成方法を解説してきた。これらが明日へのヒントになれば幸いである。


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