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平成20年度予定の経審改正情報

■勘定科目別、企業規模別の財務指標評点の分析

【第21号 平成20年7月28日発行】
(株)日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所
神中 良行


 

■ 10億円企業
勘定科目 P X2 X21 X22 Y 1 2 3 4 5 6 7 8
支払利息 -46       -229 2.950              
流動負債 -1       -3   0.345            
売上総利益 3       14     3.219          
総資本 -1       -3     -0.390     -1.133    
経常利益 3       15       2.950     0.150  
純資産合計 2 4 8   7         8.823 3.260    
固定資産         -1         -7.870      
受取勘定         -1             -0.150  
支払勘定         2             0.150  
利益剰余金         0               0.300
営業利益 1 9   18                  
減価償却実施額 2 9   18 2             0.150  
年平均完工高が約10億円の企業に関して3%に当たる3000万円の増減をシミュレーション

■ 100億円企業
勘定科目 P X2 X21 X22 Y 1 2 3 4 5 6 7 8
支払利息 -40       -199 2.564              
流動負債 -1       -2   0.308            
売上総利益 3       15     3.219          
総資本 -1       -3     -0.390     -1.133    
経常利益 6       33       2.565     1.500  
純資産合計 2 6 12   7         8.823 3.260    
固定資産         -2         -7.870      
受取勘定 -4       -22             -1.500  
支払勘定 4       22             1.500  
利益剰余金 1       8               3.000
営業利益 3 23   46                  
減価償却実施額 7 23   46 22             1.500  
年平均完工高が約100億円の企業に関して3%に当たる3億円の増減をシミュレーション

[ 表記について ]
P:総合評点値P点、
X2:自己資本額及び利益額評点、 X21:自己資本額評点、 X22:利益額評点、 Y:経営状況Y評点、
1:純支払利息率、 2:負債回転期間、 3:総資本売上総利益率、 4:売上高経常利益率、
5:自己資本対固定資産比率、 6:自己資本規律、 7:営業キャッシュフロー、 8:利益剰余金


 上記の表は、売上高10億規模と100億規模の経営状況Y評点(以降Y点と略す)が700点台の企業に関して、表の各勘定科目に対して売上の3%の金額を増加したときの総合評定値P点、自己資本額及び利益額X1評点(以降それぞれP点、X2点と略す)、Y点の各指標の点数を増減した数値を表したものです。今回、規模を2種類シミュレーションしたのは、改正された経審が規模により評定値の差異があるということを実証するために行いました。


■ 10億円規模の表に関して

(1) 「支払利息」を増加したとき
 最も数値が変化しています。支払利息は、有利子負債の利率による金額の発生となりますので他の勘定科目と同様の金額をもって比較することに意味があるかは検討しなければなりませんが、純支払利息率の寄与度も29.9%と高くY点に大きな影響を与えることが分ります。

(2) 「売上総利益」と「経常利益」を増加したとき
 2番目に影響がある勘定科目です。売上総利益は、総資本売上総利益率に影響を与えており、指標の寄与度は21.4%と2番目に高いためです。また、経常利益は、売上高経常利益率と営業キャッシュフローに影響を与えており、それぞれの寄与度は5.7%と高くありませんが、2つの指標に影響を与えているためにです。

(3) 純資産合計に関して
 3番目に影響がある勘定科目です。純資産合計は「自己資本額」を表します。自己資本額に係る計算は、Y点の自己資本対固定資産比率と自己資本比率、X2点の自己資本額X21評点の3ヶ所に影響を及ぼしているからです。

(4) その他の勘定科目について
 流動負債、総資本、固定資産、支払勘定等(営業キャッシュフローに関する科目)は、Y点の負債回転期間、利益剰余金、営業キャッシュフローの各指標に影響するものです。それぞれの寄与度は11.4%、5.7%、4.4%と他の寄与度に比較すると低いために影響が少ないといえます。


■ 10億円規模と100億円規模との違い

 100億円規模の表を検討すると10億円規模の表との大きな違いは、X2点とY点の利益剰余金と営業キャッシュフローの評点の違いです。これらの評点は、規模に対する率ではなく絶対額の評価項目です。
 勘定科目でいえば、経常利益、支払勘定等の営業キャッシュフローを構成する勘定科目と利益剰余金、純資産合計(自己資本額)、営業利益等があたります。Y点では評価される科目の金額が10倍になれば評点も10倍になります。また、自己資本額X21評点と利益額X22評点はそれぞれ線形式となりますので単純な規模との倍数とはなりませんが、勘定科目の絶対額が大きいほど加点が大きくなります。


■ まとめ

改正経審の財務関係の評価として大きく2つのことがいえます。

1.利益重視の評点
 Y点の指標で、総資本売上総利益率と売上高経常利益率の指標が寄与度も高く、経常利益は営業キャッシュフローにも影響があります。また、営業利益はX2点の利益額X22評点に影響を与えます。
 売上総利益を上げることにより営業利益、経常利益と連動して上がることになりその結果P点を大いに上げることになります。売上総利益を上げるためには、本業によるコスト管理の実践が重要になります。現在の材料費、燃料費の上昇の中、無駄なロス・手間を避け、しっかりした施工計画の下に効率良く工事を運営する組織作りが、結果として利益を創出できる企業を作ります。地道な原価管理の実践が求められているといえます。

2.規模による違いの把握
 過去の経審では、完工高X1評点と技術力Z評点を除いては、規模(完工高または売上高)に対するバランスで評価してきました。しかし、今回の改正でX2点とY点の利益剰余金、営業キャッシュフローでは、規模的なバランスの評価ではなく絶対額の評価となりました。この4つの評価の変更により、規模が大きいほど有利になりました。
 さらに、如何にバランスが良い企業でも規模が小さいと高得点は取れなくなりました。具体的には、改正前の経審で完工高規模が数億円規模でもY点が1000点から1200点台の企業は多く見受けられましたが、改正した経審でこの規模では1000点を超えることはかなり難しいでしょう。利益剰余金、営業キャッシュフローを除く6つの指標で最高点をとり、利益剰余金営業キャッシフローが5,000万円あったとしてY点は1110点となります。取得するためには、かなり大変な数値といえます。
 また、規模が大きいからといって評点が高くなるわけではありません。自己資本の充実、利益の確保をできていない企業はいくら大きくても評点が高くなることはないということを理解しておかねばなりません。

 

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